「調査書」とは、一般的にその生徒がどのような高校生活を過ごしたのかが記載されている書類のことです。学業成績を点数化した内申点(評定)が記載されていることから、内申書ともいわれます。学校の先生が作成し、ほかの出願書類と同時に志望校へ提出します。
一般的には願書と共に受験校に提出する必要がある資料となります。在籍校での各教科の成績をはじめ、学級・生徒会の委員経験、学校行事での活動状況、部活や学校内外での活動実績、出欠日数など、学校生活全般について記録した書類です。原則としてすべての大学への提出が義務づけられています。大学受験の総合型選抜、一般選抜、学校推薦型選抜、また活用の度合いが学校段階によって異なりますが、私立高校入試でも合否を判定する際の資料となることがあります。
一ツ葉高等学校では、合否判定の材料にする形ではなく、高校生活を今後どのように過ごしてもらったらいいかの材料にさせていただいております。
高校が作成し大学入試で使用される調査書について説明します。
調査書には下記の記載があります。
- 氏名、生年月日、住所、転学及び在学中の高校等の個人情報
- 各教科・科目の学習の記録(各教科・科目の取得単位数と評定)
- 各教科の学習成績の状況(各教科の成績を5点満点で評価したもの)
- 学習成績概評(A〜Eの5段階での本人の評価と学年全体の分布)
- 総合的な探究の時間の内容・評価(点数化せず、文章で記載)
- 特別活動の記録(委員会の役員を務めた記録など)
- 指導上参考となる諸事項(資格・検定、各種大会の成績、部活動やボランティア活動など)
- 備考
- 出欠の記録
大学はこれらの情報を合否材料の一つとしますが、調査書の内容をどれくらい重視するかは大学の方針や選抜方式によって異なります。たとえば、学校推薦型選抜(いわゆる推薦入試)では、一定以上の評定値を出願条件としていることから、調査書は重視要素の一つといえます。
現行の調査書で、見た目のボリュームが最も多く割かれているのは「各教科・科目の学習の記録」と「指導上参考となる諸事項」の2つです。「各教科・科目の学習の記録」部分については、すべての高校で作成と保管が義務化されている「指導要録」というものの内容を転記すればよいのですが、「指導上参考となる諸事項」については、「学習における特徴」「行動の特徴、特技等」など6つの項目を学年ごとに3年分、文章として記す必要があります。作成する先生の負荷が大きい反面、学業成績以外で輝いている生徒をきめ細かく評価できるメリットがあります。一部の高校では、学期や学年の節目、大きな行事のあとなどのタイミングで生徒が振り返りを行い、調査書にある6つの観点で文章化しているケースも見られます。自らの学びを振り返って言語化すること(ポートフォリオ化)は教育的にも効果があるとされており、このような流れは今後強まるかもしれません。