定期テストの女王
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの夏目です。
時々、定期テストでは素晴らしい成績をとるが、実力テストでは振るわない成績をとる生徒がいます。何年か前ですが、定期テストと実力テストの点数が極端に乖離している生徒がいて、私はその女生徒の勉強法を詳しく観察してみたことがありました。
その生徒は記憶力が高く、極めて真面目な生徒でした。彼女は先生が授業中にさりなげなく言った「そこ、テストに出るかもよ」というセリフを細かくメモしていて、テスト前の二週間の間に、出題可能性があるすべての領域をひたすら暗記していました。
彼女の勉強方法を見ていて二つの問題を感じました。一つには、先生が生徒に考えさせようと意図して出題した問題も彼女は暗記することで対応していたことです。これでは思考力が伸びません。次の問題は、彼女が極めて短期間に(力技で)暗記をして、その後のフォローをしていないことです。テスト前は夜中の2時まで集中して暗記をするけれど、テスト後には復習を一切しないというやり方でした。これでは、覚えたことを一週間後まで記憶していることさえ難しいでしょう。
論理的に思考すること、暗記を繰り返すことで記憶を定着させること、この二つは長期的な学力向上には必要不可欠な勉強方法です。私は彼女に勉強方法の修正を提案してみましたが、彼女は頑として受け付けませんでした。「私はこのやり方で定期テストで良い点をとり続けて、よい内申点をとり、推薦制度を使って希望の大学に行きます」と彼女は主張しました。
確かに、今はAO入試や推薦入試制度が充実していますので、(学力が低くても)定期テストのみ結果を残せば高学歴を獲得することが可能です。しかし、それは彼女の長い人生を考えた時に、果たして有効なやり方なのだろうか?私は大いなる疑問を感じつつ、彼女の自信に満ちた顔つきに押されて、黙りこくってしまいました。
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパス 夏目