美術鑑賞の事前学習パート3
通信制 一ツ葉高校 福岡キャンパス 重本です。
一ツ葉高校福岡キャンパスでは、来週金曜日福岡市美術館へ行きます。
今日はその事前学習の3回目ですね、ここ数日は福岡市美術館の学芸員の方から頂いたCD―ROMからいくつか作品をピックアップして、説明しています。
今日はマルク・シャガールの「空飛ぶアトラージュ」です。
シャガールはロシア、ウィテブスクに生まれるユダヤ人。シャガールの家族は敬虔なユダヤ教徒であったらしく世界は第一次大戦、ロシア革命、第二次大戦と激動していったことはそれはユダヤ人にとっては特に重い経験でした。シャガールの絵にはやはりユダヤが主題になるものも多く後年、父のルーツであるパレスティナ、エジプト、シリアを旅行していることがよくでています。
ペテルブルクの美術学校に学んだシャガールの幻想的な絵画は、ユダヤ教の象徴やロシア民衆版画などから来るものが多いのも事実です。
民族や、異邦人の悲劇、悲哀など、人間の苦悩が根底にあるせいか未来派や前衛美術に多くの影響を与えたことで有名なんですよね。
第二次世界大戦中には一時アメリカへ亡命しましたがその最中、ナチスの故郷への侵攻を知り、最愛の妻ベラを失って、失意のため彼はしばし絵筆を持てなかったといいます。終戦直後に描かれたこの「空飛ぶアトラージュ」は、シャガールが絶望の淵からの再起を期した一作です。一組の母子を乗せて小さな村の上空を翔けるそり(アトラージュ)に、彼は、戦火に苦しんだ故郷の人々や亡き妻への鎮魂の意と、再び訪れた平和への希望を込め、自らの再出発の記念としているかのようです。
こうしていろいろと勉強していくのも楽しいですよね。
私も絵がますます好きになりました!
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