人の心を一瞬でつかむ方法
通信制高校一ツ葉千葉キャンパスの矢島です。
私が学校の先生になりたいと思うようになったのは、高校時代の恩師との出会いがあったからでした。その恩師は常に、生徒たちにふとした笑顔の瞬間を与えてくれていました。
僕が何気なく職員室を訪れた時のことです。当時副校長だった恩師は「ほい、元気か!」と私に気軽に声をかけてきてくれました。職員室は職員室独特の雰囲気があり、若干ぴりぴりしているのですが、その先生がいるときは別でした。
恩師はいつもアメを一粒取り出し、「はいよ!」と言って渡してくれました。恩師の職員室のデスクには、常に数十粒の飴が、誰もが食べられるように置いてありました。
初対面の生徒に対しても、アメを渡すところからのコミュニケーションを忘れませんでした。そのせいか、恩師と接する人々は常に笑顔になりました。
恩師の姿を見て、私は「まるで街中で風船や花を配る、ピエロみたいだなぁ」と思いました。ピエロは子どもと接する前に、目の前でぱっと花を出したり、バルーンアートを器用に作ったり、「まずはお近づきのしるしに」とばかりに笑顔を振りまいてくれます。
もちろん、ピエロの滑稽な姿にも笑っていますが、子供は花やバルーンをもらえることの嬉しさや驚きに胸が躍り、たちまち喜びの表情を見せます。
恩師はピエロのように、「飴を渡す」という何気ないやり取りの中で、コミュニケーションの導入に生じる緊張感を和らげ、相手と打ち解けやすくしていたのだと思います。
「人の心を一瞬でつかむ方法」というものがあるのなら、誰もがそれを知りたいと思うでしょう。事実、「人の心を読む」とか、「相手の気持ちを見抜く」とか、そういったタイトルの自己啓発本はたくさんあります。
しかし私は疑問に思います。相手の心や気持ちを見抜く必要など、本当にあるのでしょうか?
つづく
通信制高校 一ツ葉 千葉キャンパス 矢島