古典の表現に学ぼう!(その2)
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの矢島です。
『平家物語』に続いて、次に生徒たちと『枕草子』の次の一節を勉強しました。
うつくしきもの瓜にかきたるちごの顔。
雀の子の、ねず鳴きするにをどり来る。
【現代語訳】
かわいらしいもの。瓜に描いた幼子の顔。
雀の子が、人がねずみの鳴き声を真似してみせると、踊るようにしてやってくる。
『枕草子』は、清少納言という女流作家によって書かれた随筆(エッセイ)です。
随筆とは、思ったことをありのままに文章として綴るものです。
清少納言ののびのびとした文体は、「おかしの文学」とよばれ、
同時代に『源氏物語』を書き、「あはれの文学」を確立した紫式部とは、
対照的な人柄であったとされています。
さて、さきほどの文章にあった「うつくしき」ものとは、現在使われている「うつくしい」
の意味と少し違っています(現代語訳を参照)。
つまり、昔の「うつくし」は、年長の人が目下の者をいとしく思う気持ちを表していたのです。
そのため、どちらかというと、「可愛い」や「愛くるしい」といった意味合いに似ています。
時代が移り変わるにつれて、言葉の意味が変わったものもたくさんあります。
今私たちが使っている言葉さえも、100年後はどういう意味で使われているかわかりませんね。
その証拠に、「全然」という意味は、一昔前とは少し違っているのです。
以前は、「全然~ない」という否定的な表現でしか使われなかったこの言葉も、
今では、肯定的な場合でも、「全然~する」というような形で使われるようになりました。
言葉はつくづく「生きた文化」なのだと、改めて感じた授業でした。
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパス 矢島