先生という職業
通信制高校 一ツ葉福岡キャンパス 島田です。
『今年もまた寒い冬を乗り越えて春が近づいてきました。』
そんな一言から始まりました。
今日、福岡キャンパスは卒業式でした。
29名の生徒が無事、卒業証書や修了証書を手にし、
卒業・修了をし、進学や就職、これから進路を見つけるという風にそれぞれが別々の道を歩んで行くこととなりました。
卒業生代表の答辞
進路の結果次第ではありましたが、ある生徒にぜひやってもらいたいと考えていました。
ようやく受験が終わり、長い長いトンネルから抜け出たようにその生徒はこれまで一切遮断していた勉強以外のことと関わりを持つようになりました。その中にはほかの生徒との関わりも入っています。
今日、この日を迎えられるまで、全ての生徒が心配です。
答辞を読んだその生徒も例外ではありません。
まず、答辞を引き受けてくれるか、実際に卒業式に来るのか、受験が終わってもそんな心配がありました。
答辞を引き受けてくれることになりましたが、内容はごくシンプルです。ゆっくり読みたいとのことでした。
そこから始まるその生徒と私の水面下でのかけひき。
私としては思いの丈を吐き出してほしいと言っていましたが、その生徒からは「いいえ」の一言。
その生徒が答辞をやってくれること自体が一つ収穫ではあるので、よしとしていました。
最近は私から離れたところでずっと練習をしていました。
卒業式直前のリハーサルでは何も読みませんでした。大丈夫かなと感じたものの、きっとやってくれるだろうと信頼していました。
そして式が始まる直前、その生徒が私に答辞の原稿を渡しに来ました。持っていてくださいと。
私のかすかな期待に応え、別の文章を用意してくれていました。
『今年もまた寒い冬を乗り越えて春が近づいてきました。』
それから自分のこの3年間を話してくれました。苦しかったこと、嬉しかったこと、感謝の気持ちを込めて話してくれました。
式場にいる全員がその生徒の紡ぎ出す言葉に耳を傾け、心にぐっと来るものがありました。
その生徒が見ていた原稿は白紙でした。ただただ白い紙を読んでいたのです。
日々大変だと思うことはありますが、こんな素敵なことがあるから先生と言われる職業は辞められないなと改めて実感しました。
卒業生のみなさん並びに保護者の皆様方、誠にご卒業おめでとうございます。
通信制高校 一ツ葉福岡キャンパス 島田