歌う日本人
こんにちは、立川キャンパスの宇野です。
10月より後期がはじまりもう2週間が過ぎました。
早くも第1回レポート締切を迎え、慌ただしくなるキャンパスでございます。
皆さん学校には慣れましたか?
転入生はもちろんのこと、
コース変更生、前期から引き続きの皆様方も、
新学期とは意識せずとも肩肘がはるものです。
ここらで自分の疲れに目を向けて、
ふっと息をつくように、ご自身を労ってくださいね!
そんなわけで第一回レポートの話。
宇野が担当している国語総合では、短歌と俳句を扱いました。
短歌は三十一文字、俳句は十七文字。
いずれにしても数少ない文字数で一つの世界観を完成させている、
我が国が誇る文学でございます。
大げさだって?
いえいえ!例えば十七文字なんて言ったら、
「オハヨウゴザイマス イマタチカワデス」
ってなものですよ!
日常生活であれば、一つの情報を伝えるのにやっとの文字数です。
この文字数で、みる者にあらゆる感情を抱かせる作品を作るわけですから、
歌人、俳人とは本当尊い存在ですね。
習うより慣れろ!
実際に観賞してみましょうか。
まずは著名な松尾芭蕉の作品から。
「この道や 行くひとなしに 秋の夕暮れ」
いかがでしょうか。
たった十七文字ですが、秋の夕暮れに、人通りの少ないひっそりとした道が続く。
もの寂しさにあふれた映像が目に浮かびます。
この道とは、ただ目の前の道を示しているだけでなく、
人生の道を示しているのかもしれません。
色々な感情が起き起こる作品でございます。
次は前衛的な俵万智の作品です。
「この味が いいね」と君が 言ったから
七月六日は サラダ記念日
いかがでしょうか。
こちらもたった三十一文字ですが、恋人たちの一コマを思わせます。
この味「が」、ということは、何度か作ったことがあるということ。
二人は一緒に暮らているのでしょうか。
作ったものは肉じゃがでも筑前煮でもなく「サラダ」。
料理になれていない、若々しく一生懸命な姿が思い浮かびます。
作った人は献身的、感想を述べた人は少しオレサマ的。
二人の関係性すらありありと思い浮かんできます。
同じく俵万智の作品で、小さい頃の宇野が好きだったもの。
「あい」という 言葉で始まる 五十音
だから傷つく つくつくぼうし
本好きで有名な小さい頃の宇野ちゃん。
誕生日プレゼントに近所のおば様から頂いたのが俵万智の歌集でした。
そこでみたこの作品。
なんだかよくわからない。
でも「あい」とは傷つくものなのだな。
つくつくぼうしは恋人を頑張って探して命を終えていくもんな。
と思い、ませた気分で鑑賞したものです。
皆さんにもお好きな作品はありますか?
たった十七文字。
たった三十一文字。
されどあなたの心を満たし、人生をささえるもの、
それが和歌という文学なのだと思います。
宇野 国語担当