漢検ロード第11章「四字熟語の世界」(その2)
通信制 一ツ葉高校 代々木キャンパスの矢島です。
あまり良く知られていませんが、「夏目漱石」という名前は、
漱石自身が、文学作品を発表する際に用いられた、いわゆる「ペンネーム」です。
実は、この「漱石」という名前も、ある四字熟語からきています。
その四字熟語とは、「漱石枕流」です。
…え?そんな言葉、見たことも聞いたこともないって?(笑)
いえいえ、これは立派な四字熟語なんです。
この言葉は、『晋書』孫楚伝という、中国の歴史書が出典の故事成語です。
さて、肝心の意味ですが、要するに読み下すと、
「石に漱ぎ、流れに枕する」ということになりますね。
「漱」という字には、口をすすぐ(ゆすぐ)という意味があります。
しかし、石で口をすすぐことは出来ませんよね?
また、川の流れを枕にすることもできませんよね?
では、なぜそんなことを言ったのか。『晋書』孫楚伝には次のようなことが書かれています。
「石に口をすすぐのは、歯を磨くためである。流れに枕するのは、耳を洗うためである。」
とんでもない屁理屈を…!と思った方もいるかもしれません(笑)
以上のことから、「漱石枕流」とは、自分の失敗を認めず、屁理屈を言うことを意味します。
また、屁理屈ばかりで、負け惜しみが強いことも意味しています。
この故事成語を見て、「面白い意味だ」と思った漱石は、
本名の夏目金之助から、名前を「漱石」に改めたといわれています。
↑ 「一」含む四字熟語。むむ?おかしなのが混ざってる気が・・・ ↑
このように、四字熟語は常に造られては増え、多くの人に使用されていきます。
まさに「生きた日本のことば文化」というべき無形遺産といっても過言ではないでしょう!
生徒の皆さん、もっと「四字熟語」の奥深さに触れてみてください。
通信制 一ツ葉高校 代々木キャンパス 矢島