入試問題が発するメッセージ
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの夏目です。
私は大学入試の問題を数多く解いてきましたが、入試問題は単に学力を測定する目的のみで出題されるのではなく、受験生に対し強いメッセージを発していることに気づきました。
例えば、千葉大学の英語入試問題には高い確率で「科学の限界」というテーマが出されます。カール・ポパーの科学論を足がかりに、今日常識とされている科学知識が明日にでも否定される可能性があるという認識が数年に一度の頻度で出題されます。
この認識は一生懸命受験勉強をしている高校生には受け入れがたいものでしょう。自分が長い時間をかけて理解・暗記してきた科学的知識の正当性は本当のところ脆弱なものに過ぎない、とは思いたくはないからです。
しかし、大学に入り科学の最先端で研究を行う際には、上記の認識はどうしても必要になります。逆に言えば、現行科学の正当性を盲信している学生では、新しい科学的発見をなすことは不可能なのです。千葉大学の教授たちは未来の学生である受験生に対し、「今勉強している科学知識を疑うぐらいの批判的精神も養っておけよ」というメッセージを入試問題にこめているのでしょう。
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパス 夏目