千葉キャンパス ブログ

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  1. セルバンデスという男(その3)

    通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの矢島です。

    ご存知のとおり、ルネサンスとは人間が神の絶対的な存在に疑問を持ち、
    ヒューマニストによって「人間復興」を目指して立ち上がった運動です。
    簡単に言えば、人間そのものの本質を見つめ直すということです。

    セルバンデスは、ただ単に、狂気の老人による滑稽話を
    書きたかったわけではなかったはずです。
    この小説を読んで、ふと思い浮かんだのが、シェークスピアの『ハムレット』です。
    シェークスピアも、ルネサンス後期を代表する小説家といわれています。

    彼の書いた『ハムレット』では、父であるデンマーク王が殺されたことに復讐を誓い、
    あえて狂気を演じて過ごすことを決意しました。

    この人間の「狂気」が、『ドン・キホーテ』について考える1つのキーワードだと思います。
    私たち人間は、時に正気の中で狂気を装ったりします。
    また逆に、自分では正気だと思っていることが、実は狂気だったりします。
    確かに、狂気におちいった人はそれ自体に気づかないものです。
    いや、それよりも狂気におちいった人間に見えている世界は、
    正気の人間と変わらないのかもしれません。

    結局人間は、自分の価値観を持ち、その中で色々な感情を抱いています。
    同じ世界を見ているようで、実は一人ひとりが、
    まったく違った世界を見ているのかもしれません。
    このように考えると、人間の正気も狂気も、表裏一体であるような気がします。

    「人間とは何か?」「自分とは何か?」「何のために生きるのか?」

    私たちは、ともするとこのような難しい問題に見て見ぬふりをしてしまいます。
    「どうせ正解なんか簡単に出ないんだから、考えても仕方がない」と思う人もいるでしょう。
    しかし、この命題が分からなければ、私達が生きる意味は分からなくなります。

    そうなった時、人間として生きる喜びも、悲しみも、充実感すらもなくなってしまうでしょう。
    文学作品を通してあらゆる思想に触れ、あるいは共感し、感動し、興奮する中で、
    その難しい問題を解くための、いいヒントをもらっているのかもしれません。

    生徒たちにそのヒントを与える場として、倫理の授業
    これからも充実させていきたいと思いました。

    通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパス 矢島

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