秋は夕暮れ
こんにちは、立川キャンパスの宇野です。
早いもので後期レポートも第二回に突入しましたね!
宇野が担当している国語総合はいよいよ古文の範囲。
古文って呪文みたい。外国語みたい。
日本語のくせに何を言ってるのか分からない。
そう言われるたびに答えます。
「そんなことない。
何を言ってるのか分からないのは文章の中のごく一部のはず」
言語の変化は皆さんが思っている以上にゆるやかなもの。
1000年以上前に紡がれた言葉でも、
案外読んでみると意味がわかるものなのです。
と、いうことを証明するため、
まずは有名な古文の作品をいくつか鑑賞してみました!
『竹取物語』(880年ごろ成立の物語)より
竹取の翁といふ者ありけり。
→竹取のおじいさんという人がいました。
『平家物語』(1240年ごろ成立の軍記物語)より
おごれるものも久しからず。
ただ春の夜の夢のごとし。
→おごり高ぶっている人も長くは続かない。
まるで春の夜の夢みたいなものだ。
いかがですか?
結構読めませんか?
読むのは少し難しいけど、意味を聞くと
「確かにな」と思うこともあります。
『枕草子』(1000年ごろ成立の随筆)より
春はあけぼの。
やうやう白くなりゆく山ぎは少し明かりて、
紫立ちたる雲の細くたなびきたる。
→春は夜明け頃がいいと思う。
だんだん空が白くなってきて、
山の稜線が少し明るくなる時、
(夜の黒、太陽の赤に挟まれた)
雲が紫色になって細くたなびいている。
(素敵でしょ?)
確かにー。
春になったら暖かくなって太陽の力を感じるようになる。
太陽とともに起きた朝、
空を見てみたら、なんとも言えないほど「をかし」な天体のグラデーション。
ついつい「春はあけぼのだなぁ」と言いたくなる(はず)!
ちなみにこの先も枕草子は続いておりまして、
夏は夜
冬は早朝
が愛でられています。
では秋はいつでしょうか?
秋は夕暮れ。
夕日のさして山の端いと近うなりたるに、
からすの寝どころへ行く とて、
三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。…
→秋は夕暮れがいいと思う。
夕日が山の稜線近くになったその空の中、
巣に帰るからすが、3羽、4羽、、
次は2羽、そして3羽、、
みんな急いで帰っている。
なんだか「あはれ」だわ。
「あはれ」は辞書には「しみじみとした趣」とありますが、
何それ?ですよね。
好きな言葉にしてみましょう。
秋の夕暮れのオレンジ色の中、
黒い小さな点々みたいにからすが飛んでいく。
寒くなってきたせいか家が恋しくなる。
からすも家に帰るのか。
私も家に帰ろうかな。
そんな時の「あはれ」
もの寂しい?
じんわりあったかい?
なんだか感傷にひたる?
本日家に帰る際、ぜひ夕暮れをみてみてください。
カラスが見れたらなおよろし!
その時あなたが感じた気持ち。
それが1000年続く感情、「あはれ」の正体なのでしょう。
宇野 最近フェレットを育て始めました