秋と言えば…
通信制 一ツ葉高校 代々木キャンパスです。
「ノーベル賞の季節」
こんにちは、羽鳥です。
最近すっかり季節が秋になって、朝晩が急に寒くなりましたね。
皆さんは秋休みを有意義に過ごせたでしょうか。
私は、秋になるとちょっとそわそわします。
ノーベル賞が発表される季節だからです。
一昨日までで、今年の自然科学系のノーベル賞がすべて発表されました。
どの賞の受賞内容もすべて本当に素晴らしい研究ですが、
今回は私が特に注目した化学賞についてお話します。
今年のノーベル化学賞は、「クライオ電子顕微鏡」を開発した3人の研究者が選ばれました。
クライオ電子顕微鏡なんて言われてもわからないかもしれないので、
まずは電子顕微鏡の仕組みから説明します。
皆さんが一般的に思い出す通常の光学顕微鏡は、
光を対象物に当ててその形を観察するものです。
対して、電子顕微鏡は電子を当てることで物の形を観察する機械です。
対象物に当たって跳ね返ってきた電子を検出するタイプと、
対象物を透過した電子を検出するタイプとで、大きく分けて2種類あります。
電子というとても小さなものを媒体としているので、
虫の目の表面構造や、髪の毛の凹凸といった微細なものを観察するのに適しています。
そんな便利な電子顕微鏡ですが、電子を高速で飛ばして当てているので、
生体物質などでは構造が変わってしまったり壊れてしまったりして適しませんでした。
それを可能にしたのが、クライオ電子顕微鏡です。
クライオ顕微鏡では、液体窒素などで対象物を極低温に固定して観察することで、
形状の変化を伴わず観察できるようになりました。
今回ノーベル化学賞を受賞された1人のヘンダーゾン博士が、
生体たんぱく質の観察を電子顕微鏡で行おうとしたことが開発の始まりだそうです。
クライオ電子顕微鏡が開発されたことで、
今までしっかり観察できなかった微小な生体物質も観察できるようになりました。
物質や作用の発見ではなく技術開発でノーベル賞をもらうことは、
それだけその技術が科学研究に貢献したという証拠で、素晴らしいことだと感じます。
今後も、もっと技術開発の分野の研究が評価されるようになればいいなと思っています。
では。
通信制 一ツ葉高校 代々木キャンパス